『日の出の森につづくみち』

――未来のいのちを奪うごみ処分場はいらない 

田島征三・講演記録「日の出の森から」収録

人間家族・別冊

   《朝日新聞・静岡版 掲載記事 2000年8月9日》

   東京・日の出の運動報告中心に

   処分場の問題点 月刊誌が集大成 南伊豆で出版

 自然環境や原発、子育てなどをテーマにした会員制の月刊誌「人間家族」を発行している南伊豆町毛倉野の「スタジオ・リーフ」から、東京都・日の出町のごみ最終処分場反対運動の報告を中心にした「日の出の森につづくみち」という本が出版された。建設の是非を問うための住民投票を求める運動が続く浜北市灰木の最終処分場問題など、全国の処分場紛争に共通する環境破壊や汚染、子孫への負の遺産、政官業の癒着構造といった問題点が浮き彫りにされている。

 「人間家族・別冊」として出版されたこの本は、ごみ問題の象徴といわれる日の出町の一般廃棄物最終処分場をめぐり、建設反対の運動を続ける絵本作家の田島征三さんの講演記録を中心に構成されている。このほか、各地からの支援のメッセージ集、年表やアピールなどの資料集を収録している。
 講演で田島さんは、「処分場に埋め立てた焼却灰が風で飛ぶ道筋で、がんの死者が平均の四倍もあった」という住民側の調査を紹介し、飛散するダイオキシンの恐ろしさを訴える。
 その上で、厚生省がダイオキシン対策として巨大焼却工場を奨励する一方、焼却施設の業界団体の会長に元厚生大臣、幹部に同省OB、メーカーに都の幹部が天下りして談合を繰り返していた、との新聞報道を引用し、「ごみ問題は腐った役人の問題だ」と政官財の癒着を批判。また、生ごみを分別して土に返せばごみ問題の半分は解決する、と述べている。
 寄せられたメッセージの中には、浜北市の灰木川環境サークルの氏原久美子さんの声もある。浜北市の処分場の建設は、絶滅危ぐ種を含む三百七十七種の多様な植物、灰木沼に飛び交う二十八種のトンボ、三十八種の鳥類の生態系に影響を及ぼすとの調査結果を紹介。「私たちの願いはこの豊かな自然の中で家族とともに健康に住み続けること」と訴えている。
 「何を学ぶのか」の章では、ごみ問題と正面から向き合ってきた岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長や沖縄大の宇井純教授、香川県の石井享県議が、二十一世紀に何らかの解決策が求められるこの問題の示唆に富む提言をしている。
 「日の出の森につづくみち」はA5判、114ページ。税別千円。問い合わせはスタジオ・リーフ(0558-62-4533)へ。


『日の出の森につづくみち』

   ――未来のいのちを奪うごみ処分場はいらない 

 【目 次】

巻 頭 詩  ココペリ                    ななお さかき 5

はじめに                          ほりこし ゆみこ 6

第1章 「日の出アピール」――――――――――――――――――――――――- 9               

第2章 日の出の森から―――――――――――――――― 田島征三・講演記録 15
  はじめに……17
関西のゴミ問題の現状と自然破壊……19
  初期の第一処分場建設のころ……20
「公害の起承転結」とダイオキシンの危険性……23
  ダイオキシンの固まり、超危険なフライアッシュ(飛灰)の存在……25
  ゴミ問題=腐った役人問題……26
  ゴミ処分場建設の現場は――……29
  環境教育について……33

第3章 日の出の森につづくみち――各地からのメッセージ ――――――――――35
  孫やひ孫を汚染するわけにはいかない 秋野亥左牟……36
  日の出の森と瀬戸内海をつないで 阿部悦子……36
  灰木沼を守りたい 氏原久美子……38
  メッセージ 永六輔……40
  暮らしを立てていく志 岡田昌……40
  日出ずる国の行く末 奥野誠……42
  自然に添って生きていく きくちゆみ……44
  みんな泣いている 趙博……45
  ごみ 野川温子……45
  まず知ってほしい日の出の森のこと はたよしこ……46
  理不尽に権利を取り上げられる関西の地権者から 藤田敏則……48
  「いのち」を粗末にしないで 増田京子……49
  日の出の森へ恋文を送ります 松永三恵子……50
  最後の秋(とき) 真弓定夫……50
  「ナマケモノ」の生き方から「環境の文化」を学ぶ 吉岡淳……51

第4章 日の出の森とビッグマウンテン――「公共的犠牲地域」を許すのか?―――53
  はじめに ほりこしゆみこ……54
  「ザ・ロングウォーク・フォー・ビッグマウンテン」
    デイリーリポートより 河本和朗……56
  ビッグマウンテンよ 日の出の森よ 山口晴康……59

第5章 日の出の森から何を学ぶのか―――――――――――――――――――― 63
  「環境破壊の世紀」から「環境の世紀」へ 柳川喜郎……64
  沖縄からのメッセージ 宇井純……65
  森からの手紙 石井享……70

第6章 「日の出の森はわたさない!」――3・11大集会アピール―――――――77

第7章 資料 日の出町最終処分場――――――――――――――――――――― 81
  日の出町最終処分場・年表……82
  「日の出の森からの新聞」全号見出し……88
  疑惑の風――谷戸沢処分場周辺でガン死亡多発……98
  日の出の森のさまざまな運動と資料……102
  3・31(トラスト地明け渡し期限日)声明……107

あとがき                            大築 準 112 


      2000年4月15日 初版発行 A5判・114P
      企画編集 日の出の森関西びとの会   監修 掘越 由美子
       共同編集 人間家族編集室        編集発行 大築 準      
      ISBN4-915963-22-5 C0039   本体価格 1,000円+税



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