ナバホ・インディアン、老婆エマの静かな抵抗を詩情豊かに描く実話
草の根の人々に贈る 読むと元気の出る一冊
環境・先住民族問題の格好の入門書
【巻頭本文より】(目次はなし)
時は流れて、時代は過ぎ去り、もう「英雄」は出ないように見えます。
どこもかしこも(月でさえも)、探検家たちによって発見されてしまってい
ますし、大洋を飛行機で横断したり、電球を発明したりするような、ゾク
ゾクするほどエキサイティングなこともみんな成し遂げられてしまってい
ます。英雄になるには、私たちは遅く生まれすぎた、と思われることがあ
ります。
けれどそれは違います。
私たちには、今も
英雄になれる機会がたくさんあるのです。
ほんの少し違ったタイプの英雄を考えればいいのです。
エマ・ヤズィー。
彼女はアメリカのニューメキシコ州にある
ナバホ・インディアンの土地に住んでいます。
エマは、私たちが生きている、現代の英雄です。
エマは、勇敢で怖いもの知らず。また彼女はひとりぼっちじゃありませ
ん。みんなが彼女と一緒に闘ってくれます。その人たちもまた、勇敢で怖
いもの知らず。力強い英雄たちです。
彼らは、人里離れた僻地に住むナバホ人です。彼らは、自分たちは「草
の根( グラスルーツ)だ」と言います。彼らが住んでいるインディアン保留
地に生える、寒さに耐えて生き抜く草たちのように、彼らもタフでなけれ
ば生きてゆけないのです。また、草たちのように、土地に根を張って生き
ているのです。
エマと周りのナバホの人たちは、普通の英雄とはちょっと違っています。
私たちが本で読む英雄は、たいていは男で、そしてほとんど白人です。
エマは、一人の貧しいインディアン。そして、おばあさん。
やさしくて、一緒にいるのがとても楽しいおばあさんです。
(つづきは本でお読みください)
1989年10月 初版発行 B5判・60P 写真多数掲載
2003年5月現在2刷 本体価格750円 人間家族増刊号
ISBN4-915963-02-0 C0039
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