い つ も
男は いつも 女と
女は いつも 花と
花は いつも 鳥と
鳥は いつも 風と
風は いつも 雲と
雲は いつも 空と
空は いつも お前と
1988・2
北アメリカ・メイン湾
『地球B』より
ナナオ サカキ 詩集『地 球 B』
【目 次】
地球B―――P7
雪の海 漕いで行く………P9
ヴァレンタインズ デイ………P12
Valentine's Day………P13
旅は身軽る………P14
カルテ………P15
いつも泥足………P16
おへそ………P17
杜甫よ………P18
Nut Trail………P19
木の実道………P20
これで十分………P22
Just Enough………P23
十一月の歌………P24
履歴書………P27
手 袋………P28
スカンクの足跡………P31
小春日和………P32
Indian Summer………P33
五番目の鹿………P34
北アメリカ………P36
雨 雨 降れ 降れ………P38
宣 言………P40
日本人の先祖………P42
柿 酢………P44
明日一緒に遊ぼうよ………P46
ええじゃないか ええじゃないか………P49
奇 蹟………P52
Miracle………P53
昼の月………P54
Daylight MoonP55
ニホンノダレガ
アレン ギンズバーグ ニ
アイタイカ………P56
若者よ 大志を抱け………P58
いつも………P59
星を食べようよ………P60
プラーハ………P61
PRAHA………P61
耳あって………P63
笛吹童子………P64
一番星………P65
“あかがり踏むな 後なる子”―――P67
苔の歌………P69
空 青く 広く………P71
螢………P72
東アジアに 風吹いて―――P75
若い私は心乱れ――ミラ レパ………P77
七 行………P80
声あって 歌わずということなし(楽譜)―――P81
木の実道………P83
これで十分………P84
小春日和………P85
冬の花道………P86
Go with Muddy Feet………P87
十一月の歌………P89
星を食べようよ………P93
日本の友へ―――P95
アレン ギンズバーグ
ゲーリー スナイダー
マイクル マックルーア
ジョアン カイガー
ナナオ サカキ
蛇 足―――P101
書 誌―――P106
A 詩 集
B 翻 訳
うしろの始末―――P106
1989年11月13日 初版発行 03年11月現在 第9刷
A5判・110P 本体価格:1,200円 ISBN4-915963-03-9 C0092
編集:大築 準 表紙絵・カット:いけたに麻木子
《朝日新聞 掲載記事 2002年3月31日 全国版日曜版》 悠・遊・人
自然と親しむ漂泊の地球詩人 ナナオ サカキさん(79)
風を食べて、歩け、歩け
日曜日の午前3時前、東京・歌舞伎町のライブハウス。
バンドの情熱と総立ちの若者らの熱気と疲労が漂うステージに、長い白髪、カウボーイハットのナナオさんが立った。
ホー、ホー、ホォオー
やるべぇ、やるべぇ、詩の朗読、と自作の詩を読み上げる。
足に土
手に斧
目に花
耳に鳥
鼻に茸
口にほほえみ
胸に歌
肌に汗
心に風
(「これで十分」)
大正12(1923)年、鹿児島に生まれた男は昭和20年、長崎の原爆雲を見、敗戦後の東京・上野でフーテンをする。出版社、改造社の社長秘書、旋盤工になったと思うや奥秩父、知床、紀伊半島、沖縄の自然の中で生きる。「1日に 玄米1合 野菜と小魚 さらにちょっぴりの水 たっぷりの風を食べ」、アラス氷河、メキシコ砂漠、タスマニア原生林を歩き、ロッキー山脈3千メートルの洞窟で幾冬を過ごした。
マスコミ嫌いと聞いていたが、なんとか南伊豆の山中で会えた。で、さっそく凡庸な質問。いったい、食料や旅費はどう賄うのですか?
「僕は詩を作って、それをいろいろな機会に読んでいる。世界中に友がいて、なんとかなるもんだ。銭のことなど知らん。僕が非常によかったのは、学校に行かなくて、画一教育を受けなかったことだな」
アメリカのビート派詩人アレン・ギンズバーグはナナオさんを讃える詩まで残した。漂泊の地球詩人とも呼ばれる。けれど、「そういうレッテルを張られるのは嫌いだ。僕はただの人間だ」。
縄文遺跡を歩き、反原発・平和行進に参加する。「われわれはエネルギーを浪費しすぎている。そう思わないかね」。歩け、歩け、とナナオさんは言う。(文と写真・都丸 修一)
写真:小雨降る南伊豆の山中を歩くナナオ サカキさん。詩集に「地球B」「ココペリ」などがある。問い合わせは、スタジオ・リーフ(電話0558-62-4533)へ。
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